メカニックだった頃①
僕は、国家資格を持っている。
それは、自動車整備士である。
でも、僕は正直、作業は苦手。
不器用の世界の王様だと思う。
本当に無理。
こんな人生になったのは、高校選択までさかのぼる。
頭は悪い。
テストは勉強のやり方なんて知らないし、当たって砕けるタイプだった。
毎回、居残りの残念生。
高校受験ではとりあえず受かりそうな高校の工業科の自動車整備士を育成するコースに何とか合格。
そこからこの人生は始まってしまった。
出来ることなら、高校の選択を時間をかけてしっかりやりたい。
今更言っても、仕方ない。
高校の過程では3級自動車整備士の資格取得に向けて勉強し、何とか3年間耐えた。
国家試験は不合格。
凄く悔しかった。
そもそもあまり勝負事なんで興味がない。
悔しいなんて感情は久しぶりだった。
当時は専門課程だったためにそのまま専門学校に進学することができる高校だったために進学をして2級自動車整備士のリベンジに燃えた。
そこから2年間勉学に励んだ。数学は皆無だった。
次の国家資格では、何とか合格。
自慢できる資格を取ったのだ。
他の人になんていわれても僕が自力で勝ち取った資格である。
リベンジマッチが終わった頃には、就職が待っていたのだ。
整備工場なんて夏場は暑くて冬場は寒い。
すべてにおいて弱音の僕には向いていない。
そもそも作業は嫌だ。でも、仕事をせねば。
学校に届いている求人票を見たときにディーラーや整備工場とわかるものは見ないことにした。
その中でも目に留まる企業があった。
名前だけではなんの会社か連想できないのだ。
僕は、下調べもせずにすぐに履歴書を書いて出した。
何とか内定しそのあとに職場見学を開いてくれたのだ。
地方に住んでいた僕には神奈川の都会の空気のがきつく感じた。
そこは大都会の中にある大型自動車量販店だった。
車にかかわるものはほぼすべて用品があり、整備をするための大きなピットがたくさんある。
それを見た際に
作業は嫌だけど、ここで働きたいと思った。
なぜだか思ったのだ。
これが始まりで終わりなのである。